2017-01-01から1年間の記事一覧

日記:幽霊とファミチキ

前日にひっちゃかめっちゃかに遊んでから朝になって閨に入り、泥のようになって起きる四時や五時の夕方に人間が全員消えて黒沢清の映画みたいに殺風景になった感覚を覚えることがある。とまで書いてみたものだがこの文章はそもそもは下降している精神の状態…

日記:文は剥がれ、(家族と場所)

タイトルは中学生のとき読んだ現代詩のもので、毎日新聞の書評に載っていたような気がする。 昼間に日記を書くのはわたしが禁治産者か無職かあるいは人のプーかの三択の内から端を発しているが、編集のえらいおじさんがわたし以外のための花を買ってくるまで…

日記:建築についてわたしが知っていた二、三の事柄、あるいはバベルの塔へのわずかな憧憬

製図台から離れ万年布団でうめき声を上げながらASA-CHANG&巡礼を爆音で夜中に流していたのが高校生のわたしで、ヤングジャンプに出てくるヤンキー漫画のザコみたいに灰皿や酒瓶が戸棚に隠してある。床には教室以外で読みもしないバタイユの箱本がごろついて…

日記:N・S・ハルシャ展の感想(六本木がこわい)

六本木はいつ来ても慣れない。と言っても数えられるほどにしか来たことはないが、街そのものが持っている性質がすでにこわい。端的に言うと「いっぱしの都市生活者とじぶんは思い込んでいたがやっぱりおまえ田舎者じゃん」、というのを街全体に突きつけられ…

身体について;俺はなぜ行進ができないのか

肉と骨はたやすくくずれる。語源的解釈。肉は動物の皮膚に覆われ骨に付着する組織のひときれを描いたものであり、骨は肉の中心に位置し、それが集ることで體(からだ)となる。統合としての身体は、それぞれが別個の機械によって成り立っており、ブリコラー…

小説:皮膚のイ、縦書きの雨

犬の表面がぬめぬめしている。驟雨だった。舌打ちと歯ぎしりを入れかえながら男が雨戸を閉める。最初は弱拍からはじめて、ゆるやかに大きくなる。トタン小屋のなかで火をつけようとするも木材は湿っててんでつかない。舌打ちにクレッシェンドが混ざる。穴か…