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マニキュア

自慰行為のあとにマニキュアを塗るって言うことをたまに繰り返しているんだけど、伸ばした爪の間に自分の肉が詰まっているような感覚がして気持ち悪くて吐きそうになる。そのくせ毎晩水音を立てているのだから、どこか嗜虐的なたのしみも抱えているような気はする。(省略)そのあとシャワーを浴びて、恥骨のあたりをぎゅっと押して、さっきまで溜まっていた肉を吐き出すのを想像する。この下には墓が埋まっている。わたしは墓穴だ。いまは墓守たちに何度も犯されるが、あいつらだってじきにわたしの腹のなかにみっともなく収まるのだと思うと、せいぜいいまのうちにでかい面をしていろ、とにやにやしてきた。鏡に移っている自分の裸を押さえる手のひらはピンク色の爪に縁取られている。悪趣味だし、これがその場しのぎのものなような感じは確かにするけれど、あばらの辺りから描かれた自分の弧を見ていると、陶酔には浸れるからいいのだ。風呂場から出るともう一度鏡を見てそのときには脱衣場の電気は消えていて、廊下からの逆光がわたしの輪郭にある産毛を浮かび上がらせる。直線が生えていくことにはどうやら耐えられないようで、毎回体が濡れたまま布団に入って眠る。